昨今の自動車技術の進化は著しいものがあります。
自動ブレーキと呼ばれるようになったプリクラッシュセーフティシステムもここ3年位で急激に広がり、今では各メーカーほぼ全車に取り付けれるようになってきました。一昔前では高級車にしかついていなかったシステムだったのですが。
そうなると、次に注目されるのは自動運転でしょうね。各メーカーがこぞって市販化しようと技術を競っています。そんな自動運転技術は2016年に入ってマイナスの方向で話題にあがってしまいました。
アメリカで起こったテスラの死亡事故ですね。ドライバーがDVDを見てたんじゃないか、と言われていますが真因は不明です。
自動運転技術がマイナスイメージを持たれるようになった中、日産が新型セレナに自動運転技術である「プロパイロット」を搭載すると発表しました。日本メーカーでは初の機能となりますので、ここは注目したいところですね。
日産 新型セレナ
日産が新型を発表するのは2013年のエクストレイル以来ですね。セレナというと、ミドルクラスのミニバンということで、ライバル車ではノア、ヴォクシーやステップワゴンがいますね。
そんなセレナがモデルチェンジで、先進機能を充実して発売されます。その先進機能というのが、
- インテリジェントパーキングアシスト
- アラウンドビューモニター
- スマートルームミラー
インテリジェントパーキングアシストは駐車支援機能で、トヨタでは定番の機能となっています。日産はエクストレイルで採用した機能を、さらに精度をあげてきたとのこと。
アラウンドビューモニターも日産では多く採用されている機能ですね。移動物検知機能がついたということで、トヨタのハリアー等と同等機能になりました。
スマートルームミラーは日産が一歩先をいっている機能です。リヤにカメラをつけてその映像をインナーミラーとして使用するというもの。すでにエクストレイルやエルグランドで採用されています。
その他、もちろんエマージェンシーブレーキも装備できるということで、一通りの機能は搭載されています。気合が感じられますね。
そして、一番の注目は自動運転技術のプロパイロットです。
プロパイロット
設定した車速により車間距離を保ちながら走行します。また、車線の中央を走行するようにハンドルをサポート。低速域においてもハンドル、ブレーキ、アクセルをサポートする
つまり、全車速追従型のレーダークルーズコントロールで前車についていきながら、レーンキーピングアシスト機能で車線の中央を走行する、ということですね。
日産は2016年にこのプロパイロットで高速道路の単線のみ自動走行を実現し、2018年に高速道路の複数車線での自動運転を実現、2020年には市街地での自動運転を実現する予定とのこと。
自動運転技術というとたいそうな先進機能に聞こえますが、使っている技術は従来使っている機能を組み合わせたもの。エマージェンシーブレーキで使用しているカメラ、カメラを制御するコンピュータ、スロットルコントロール、EPSによるハンドル制御、VDCによるブレーキ制御を組み合わせて制御しています。
ただ、カメラにはイスラエルのモービルアイ社のカメラを採用しているとのこと。モービルアイは単眼カメラでの衝突防止を実現しており、欧州車に多く採用されているカメラだそう。
プロパイロットは自動運転か
ここまでの情報は各ニュースサイトから得た情報をまとめたもの。
それでは、この機能は果たして自動運転技術といっていいのか。個人的には、自動運転と言うにはまだ早い技術であると思う。
その理由として、まずひとつあげられるのが低速域での作動制限。
30km/h未満で先行車がいない場合はプロパイロットは作動できない。高速道路での単車線使用を前提としている機能なので、作動しないほどの低速域は想定されてはいないが、そうであればトヨタの全車速追従型レーダークルーズコントロールも同様の作動をする。
そして、もうひとつ理由としてあげたいのが、自動運転技術とはいうが、あくまでも複数機能をまとめた総称のような機能だと言うこと。
前述した先行車に追従する機能は追従型クルーズコントロールということで、トヨタやスバル等の主要メーカーは採用している。また、車線の中央を維持するレーンキープ機能も、同様に主要メーカーは採用している。それらを組み合わせた走行もアイサイトやレクサスの高級車では実現できている機能である。そのため、いきなり自動運転技術というには早いのではないかと感じた。
おそらく、日産はそれらの機能を調整してスムースに作動するようまとめてきているのだろうが、表向きな機能だけ見るとまだ自動運転と言うには早いと感じた。
自動運転技術と発表したからには
日産は自動運転技術の先駆けとしてプロパイロットを発表した。つまり、世間の人からは新型セレナには自動運転機能が搭載される、と思うことでしょう。
そうした場合、もしそれが原因で事故が起きた場合、自動運転にかなりマイナスなイメージがついてしまうのではないかと思う。他メーカーに先んじて採用するのは素晴らしいことだとは思うが、そこにはかなりの重責がのしかかるのではと思う。
今後、これらの機能はさらに進化していくことだろうと思うが、そのためにはセレナでの失敗は許されなくなる。
まだ、本当に初期の初期の機能ではあるとしても、ぜひともセレナには成功してほしいと思う。