【レビュー】fringer EF-FX Proを使って富士フイルムのカメラでキヤノンのレンズを使おう

富士フイルムにキヤノンのレンズを装着し、AFを使えるマウントアダプターが発売されました。

マウントアダプターといえば、マウントをコンバートするだけのものが多く、AFを使うことはできないものがほとんどです。

しかし、今回レビューするアダプターは電子接点を備えており、AFを使うことできるものです。公式サイトの情報を見る限りでは純正に近い状態で使用できるということなので、わくわくしながら購入してみました。

手持ちのEFマウント(fringer購入に合わせて入手した)であるEF40mm F2.8とSigma 100-400mmでの使用感を含めてのレビューをお届けします。

MEMO
後継機であるEF-FXⅡ、EF-FX ProⅡの情報を追加しました。なお、本記事で紹介しているEF-FX Proは今後対応レンズは増えないことが公式でアナウンスされています。最新レンズの対応を期待したい場合は後継機のⅡ型を購入するしかありませんのでご注意ください。

fringer EF-FX

その名の通り、キヤノンEFマウントを富士フイルムXマウントに変換するマウントアダプターです。単純にマウントをコンバートするわけではなく、アダプター側に電子接点が搭載されており、AFを使えたり、ボディから絞りの操作をすることができるようになります。

つまりは、EFマウントレンズを通常のXマウントレンズとほぼ同じように扱うことができるようになるということです。

異なる2つのバージョン

EF-FXにはProとStandardの2種類ありますが、違いは以下の通り。

EF-FX Pro(日本販売名:FR-FX1)

  • 絞り操作リング付(絞りリングがないレンズでもマウントアダプターで絞りを変更できる)
  • カメラ側、レンズ側の接点ともに真鍮製

EF-FX (Standard)(日本販売名:FR-FX10)

  • 絞り操作リング無し(絞りリングが無いレンズではカメラ側でのみ絞りの変更が可能)
  • レンズ側の接点は真鍮製だが、カメラ側接点は合金製

対応カメラボディ・レンズ

公式で対応カメラボディ、レンズが一覧で記載されています。
なお、以下の画像はクリックで拡大します。

対応カメラボディ(Ver. 3.20)

※PDAF=像面位相差AF

None X-Trans & X-Trans I CMOS (No PDAF)
– X-A1, X-A3, X-A5, X-A7
– X-E1
– X-Pro1
– X-M1
– X-T100

X-Trans II CMOS (PDAF enabled)
– X-E2
– X-T1
– X-T10

X-Trans III CMOS (PDAF, Good performance)
– X-H1
– X-T2
– X-T20
– X-Pro2
– X-E3

X-Trans IV CMOS (full sensor covered PDAF. Better performance)
– X-T3
– X-T30

対応EFマウントレンズ(Ver. 3.20)

公式では対応というより、テストしたレンズという形で紹介されています。

対応レンズはマニュアルから見ることができます。

注意
本記事で紹介しているFringer EF-FXとEF-FX Proでは、今後対応レンズが増やすことができないとのことです。理由はアダプター内のメモリを使い切ってしまったため、対応レンズ情報を追加できないということだそうです。そのため、上記マニュアル記載のレンズ以外は正式に使用することができません。必要な方は後継機のEF-FXⅡ、EF-FX ProⅡを購入しましょう。
注意
対応レンズとしてシグマ100-400mmが記載されていますが、私の場合はレンズのバージョンにより不具合が発生しました。ver.1.0ではAFが正常に作動せず、バージョンを2.0にすることにより不具合が解消されました。シグマ100-400mmを使用される場合はお気をつけください。

fringer EF-FX Proの挙動がおかしかったので問い合わせてみました

公式サイトの情報

公式サイトではYoutubeでテスト状況を公開しています。150-600mmのAF速度は必要十分じゃないかと思います。

参考

Fringer smart adaptersfringer

ちなみに、テスト状況などの最新の情報はこちらのサイトのNEWS UPDATEで逐次報告してくれているそうです。

参考

NEWS UPDATEFringer's Fujifilm X mount smart adapter

そもそもマウントアダプターって?

簡単に言えばカメラレンズ用の変換アダプターです。

レンズのボディとの接続部分は、メーカー毎に独自設計となっておりキヤノン用のレンズをそのまま他社のカメラに装着することができません。物理的に装着できないのです。

それを、マウントアダプターを介すことにより、装着できるようになります。Android用の充電ケーブルをiPhone用の充電ケーブルに変換するようなもんですね。

従来、富士フイルム用に販売されているマウントアダプターは単純に、物理的に他社のレンズを装着できるようにしていただけのもので、電子制御は全く行えませんでした。

本製品では、対応レンズに限り、制限付きではありますがほとんどの電子制御を行えるようになったのです。

fringerとは

あまり詳しい情報はわかりませんでしたが、中国のメーカーのようですね。問い合わせのメールを送ったときにも中国の方から返信が来ました。言語は英語だったのでやり取りはできましたが。

本製品以外にも、コンタックスレンズを富士フイルムGFXマウント、ソニーEマウントで使えるマウントアダプターを販売しております。

なぜEFレンズを持っていない私がEF-FXを購入したのか

私の中でも最大の疑問です(笑)

あれですね、新しいものを見ると無駄に欲しくなってポチってしまう病気です。

という冗談(半分本気)は置いときまして、レンズ選択の幅がほしかったからです。

富士フイルムの純正レンズはすべて素晴らしい品質のレンズですが、やはりそれなりのお値段です。中古でもそれほど値落ちしません。

ところがキヤノンEFマウントだと様々なレンズが揃っており、サードパーティ製も充実しているし、なにより中古の球数が多い。そのため、選択肢がとても多いのです。

例えば、私がよく使う望遠レンズで考えると、Xマウントだと100-400mmしかありませんが、EFマウントであれば70-300mmなんてものもあります。400mmまではいらないけど、300mmくらいのお手頃なレンズがほしいなという要望に応えてくれるのです。

また、タムロンの18-400mmなんていう便利ズームも使えてしまうわけです。

もちろん、良いレンズはかなりのお値段がします。むしろXマウントより高いですしね。

まぁ、あれです。新しいものを試してみたかったんです。

外観レビュー

見た目は悪くないです。マットブラックで高級感もあります。

絞りリングはイラストがあって回転方向も間違えなさそうです。

銀色の三角のところを下に押すことでレンズの取り外しを行います。

もちろんそれぞれキャップもついています。

レンズの接続部。EFマウントの電子接点が見えますね。またmicroUSB端子もありまして、ここからPCに接続することでファームウェアのアップデートが可能です。

カメラボディ側はXマウントの電子接点が見えます。

マウントアダプターなのでもちろん空洞ですよ。

X-E2につけてみました

手持ちのX-E2につけてみました。自分は持っていませんが、想像するにXF27mmくらいの大きさでしょうか。

参考までに、薄型軽量撒き餌レンズであるEF40mm F2.8 STMを装着してみました。

マウントアダプターのほうが分厚く、せっかくの薄型レンズがXF35mmくらいの大きさになってしまいますね。それでもEFマウントレンズが使えるというのは最大の魅力ですが。

使用感レビュー

続いては、実際の使用感をレビューしてみようと思います。

今回は手持ちのEF40mmとシグマ100-400mmを装着しての作例と使用感をご紹介いたします。なお、以下の作例にはX-T2にfringer EF-FX Proを装着した写真となりますことをご承知おきください。また、作例はJPEG撮って出しの状態です。

キヤノン EF40mm F2.8 STM

キヤノンの撒き餌レンズであるEF40mmです。価格.comの最安価格で17,000円ほどなのでかなり安価ですね。それでいて、F2.8と結構明るめなレンズです。

装着状態

上でもご紹介していますが、EF40mm自体は非常に薄いレンズですが、さすがにマウントアダプターをかますとそれなりの厚さになります。

富士フイルムでキヤノンのレンズが使えるのはうれしいですが、せっかくの薄型レンズの使いやすさがスポイルされてしまうのでちょっと残念ではあります。

作例

まずは作例をご紹介しましょう。

早朝の上野恩賜公園です。シャンシャンを見るために訪れました。

上野恩賜公園にはお花がたくさん咲いています。

三軒茶屋の町並みを歩いてみました。

夕ご飯は上野駅近くでラーメンでした。

そして、夜の上野駅。

所感

EF40mmという2万円以下のレンズですが、写りは素敵ですね。

手ぶれ補正はありませんが、この画角なら不要でしょう。色はもちろん富士フイルムになります。

使用感としてはXFレンズと遜色なく感じます。もちろん、少しAFの遅さも感じますが、この画角に関してAFの速さは求めませんので必要十分です。

ただ、せっかくの薄さがスポイルされていまうのが少し残念です。これなら、ほぼ同じ厚みになるXF35mm F1.4の方がいいかなぁというのが正直なところ。

シグマ 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM

シグマのライトバズーカこと100-400mmです。400mmの超望遠レンズながら、1,160gと非常に軽量です。(キヤノンのLレンズだと1,570g、XF100-400mmでも1,375gです)

ただ軽いだけではなく、レンズ性能も純正にひけをとらないという噂の人気レンズです。

装着状態

X-E2では心もとないのでX-T2(富士フイルムSSでレンタルしました)に装着してみました。

さすがにこの大きさのレンズを装着するとマウント部の耐久性が心配ではあります。ただ、マウント部はしっかりとした作りなのでがたつき等はありません。

とはいえ、首から下げている際は慎重になってしまう(笑)

作例

作例で紹介します。動物ばかりですがご容赦を。

埼玉こども動物自然公園のマヌルネコです。

かわいいなぁ。笑っているみたい。

ここにはペンギンがいますよ。

コアラの親子も寝ています。

上野動物園のシャンシャンはあられもない姿。

上野動物園のハシビロコウは美しい。

東京競馬場にもやってきました。

この日はダービーです。福永騎手がワグネリアンで悲願のダービー制覇を成し遂げました!

AF速度(2018/6/16追記)

400mmという超望遠レンズですので、気になるのはAF速度。マウントアダプターをかましている分、遅くなるのは当たり前ですが、どんなものでしょうか。動画で撮ってみましたのでご参考になればと思います。(スマホで撮ったので画質は悪い上に傾いていますが気にしないでください・・・)

詳細は以下の動画を見ていただきたいですが、ワイド端はそれなりに許容できるレベルです。テレ端は結構な頻度で迷います。今回は見通しが良いところでのテストでしたので自分の感覚よりはまともにAFが作動しているように見えますが、動物園の檻ごしだと結構迷います。そういうときはフォーカスリミッター使いますが、遅さは否めないですね。あ、この表情撮りたいって思ったときだとすぐに合わせるのは難しいです。そういうのを理解した上で、事前にフォカースを調整しておくなどすると、結構うまくいきます。

また、ときどきボケボケなのに合焦したりもするので、そのときは何度かシャッター半押しすれば合焦してくれます。大事なのはこういうものだというのを理解した上で事前準備を怠らずに使うことですね。

とはいえ、あくまでもX-E2でのテストなので、X-T2やX-H1等の新しいモデルであればより速くなるのではと思います。今度試してみます。

ワイド端(100mm)

テレ端(400mm)

所感

XFレンズだと18万円ほどしてしまう100-400mmですが、EFマウントのシグマレンズであれば7万円ほどで購入できます。

マウントアダプターと合わせても10万円ちょっとなので、この値段で400mmが手に入るなら十分過ぎます。

肝心なのは写りですが、撮ってみた感想としてはそこまで差はないように感じます。上記の作例を見ていただくとわかりますが、しっかり改造していますし、カリっとした感じがシグマレンズっぽいですよね。(そんなにシグマレンズを使ったことないしったかぶりです)

そして、個人的には手ぶれ補正の効きが結構良いことに驚きました。XF100-400mmもしっかりと手ブレを抑えてくれますが、同じくらいの効果はあるんじゃなかろうか。

ただし、AFは遅いです。もともとキヤノン機でもAFが遅めというレンズらしいのでマウントアダプターを介している分、さらに遅くなるのはしょうがないですね。なので、動きものには厳しいかと思います。(そもそも、富士フイルム自体が動きものに厳しいという話もありますが)
※2018/6/16追記:AF速度を動画で撮ってみました。上に「AF速度」として紹介していますので参考になればと思います

なお、注意点として、レンズのファームウェアバージョンによっては不具合が発生する可能性があります。公式では特にアナウンスされていませんが、私のレンズはver.1.0でシャッター半押し時にEVFが点滅するという不具合が発生しました。メーカーにも問い合わせて、いろいろやり取りした結果、ver.2.0にアップデートすることで不具合は解消しました。

その顛末は別記事にまとめております。

どこで買えるの?価格はいくらくらいなの?

2018年5月現在、日本で販売されている正規品はStandardバージョンのみです。そして、fringerの公式サイトで購入できるのはProバージョンのみです。なぜ公式でStandardバージョンが買えないのかは謎。

というわけで、それぞれ以下で買うことができます。

EF-FX (Standard)(日本販売名:FR-FX10)

日本の販売店でのみ購入可能。マウントアダプターの定番である焦点工房やAmazon、ヨドバシカメラ等で販売しております。

価格は35000円〜38000円くらいですね。

EF-FX Pro(日本販売名:FR-FX1)

2018年6月19日より日本でも販売開始しました。そのため、fringer公式サイトからとAmazon等の各ECサイトから購入可能です。

価格は公式サイトからなら299ドル、日本販売価格は45000円(税抜)ということで、やや高め。Amazonでも43000円ほどとなります。

ちなみに、私が購入したときは、Paypal払いで36053円でした。

参考

Fringer smart adaptersfringer

<追記>Fringer EF-FXⅡ、EF-FX ProⅡが販売開始しています

本記事で紹介しているアダプターの後継機であるEF-FXⅡ、EF-FX ProⅡが販売開始しています。

参考

Canon EF - Fujifilm X smart adaptersFringer

旧機(Gen1)と新型機(Gen2)との違いは以下の通りです。

  1. Pro版の絞りリングの操作性向上
  2. 新型プロセッサーと大容量メモリ搭載

確かに絞りリングは操作しづらいので、これはうれしいですね。そして、Gen1ではすでにメモリがいっぱいになり今後対応レンズが増えないと正式にアナウンスされておりますので、大容量メモリはうれしいです。というか、もう増えないのかーと思うと、やはり買い替えしたくなってきますね。Fringerはサポートが良いので新しいレンズの対応も期待できます。そうなると、Gen2しか選択肢はありません。

価格

現状、EF-FX ProⅡのみ販売しており、299ドルで販売しています。Gen1と価格は変わりませんね。

日本では売ってる?

日本でも販売しております。

Pro版はFR-FX2、Standard版はFR-FX20として販売されております。FR-FX2が44,000円ほど、FR-FX20は33,000円ほどで販売されております。Gen1よりも若干高くなっていますね。

まとめ

富士フイルムのカメラでキヤノンのレンズが使えるという非常に魅力的なマウントアダプターであるfringer EF-FX。

手持ちのキヤノンレンズが2本だけという状態で購入しているのであまり参考になる情報はないかもしれません。しかし、個人的には富士フイルムで400mmをお手軽に購入できたので非常に満足しています。せっかくなので他のレンズも買ってみたいなと思っています。

確かに、AF等、使い勝手が悪くなるところもありますが、キヤノンのレンズが使えるということは大きなメリットだと思います。

α7ⅢとMC-11を購入すればキヤノンレンズだけでソニーと富士フイルムのカメラが使えてしまう。なんて、夢を見ています。

とにかく、私的にはとても使い勝手が良いです!

X-E2+fringer EF-FX Pro (FR-FX1)を持って中京競馬場へ行ってきました

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